タイで日本人が会社を設立し、ご自身が就労するためのビザ(Bビザ)と労働許可証(ワークパーミット)を取得するためには、タイの法律、特に「外国人事業法(Foreign Business Act)」と労働法の規定を理解し、準備を進める必要があります。
ここでは、タイで日本人が会社を設立する際の最も一般的な形態である「非公開有限会社(Limited Company)」の設立手順と重要な規制について、簡潔にご説明します。
タイの会社設立手続きは、主にタイ商務省 事業開発局(DBD:Department of Business Development)で行います。
ステップ | 内容 | 補足事項 |
1. 商号の予約 | 設立を希望する会社名をDBDに申請します。類似の商号がないか確認され、承認されれば30日間有効となります。 | オンラインでの手続きも可能です。 |
2. 基本定款の登記 | 会社の基本事項(商号、所在地、目的、資本金、発起人の氏名など)を記載した書類を作成し、DBDに提出します。 | 設立時には最低2名の発起人が必要です。 |
3. 設立総会の開催 | 株式の引受が完了した後、設立総会を開催し、付属定款の承認、取締役・監査人の選任、設立準備行為の承認などを行います。 | |
4. 会社設立の最終登記 | 設立総会から3ヶ月以内に、取締役の権限や払込資本金などを記載した書類をDBDに提出し、最終的な会社登記を完了します。 | |
5. 事後手続き | 税務登録(VAT登録など)、銀行口座開設、社会保険の登録などを進めます。 |
日本人がタイで会社を設立する際、特に重要なのが「外国人事業法(FBA)」と「ワークパーミット(労働許可証)」に関する規定です。
タイでは、外国人が過半数(50%超)の株式を保有する場合、多くの業種で外国企業とみなされ、原則として事業活動が制限されます。
資本比率 | 規制上の扱い | 対応策(一般的な事業の場合) |
外国人 49% 以下 | タイ企業とみなされ、ほとんどの事業活動が可能です。 | 最も一般的な設立形態です。信頼できるタイ人パートナーの確保が鍵となります。 |
外国人 50% 超 | 外国企業とみなされ、外国人事業許可証(FBL: Foreign Business License) の取得が必要です。 | FBLの取得は困難かつ時間がかかり(数ヶ月〜)、一部の優遇業種を除き、資本金が300万バーツ以上必要です。 |
BOI(投資委員会) | タイ政府が奨励する事業分野であれば、BOIの認可を得ることで、外国人による100%出資や土地所有などの特例措置を受けることができます。 |
日本人駐在員や経営者がタイで合法的に働くためには、労働許可証(ワークパーミット) が必須です。ワークパーミットの取得・維持には、雇用主となるタイ法人に以下の要件が求められます。(BOI認可企業を除く一般企業の場合)
要件項目 | 基準 | 補足事項 |
払込資本金 | 外国人1名につき 最低 200万バーツ の払込済み資本金。 | 日本人2名が働く場合は400万バーツ、3名なら600万バーツが必要となります。 |
タイ人雇用 | 外国人1名につき 常勤のタイ人従業員を4名以上 雇用し、社会保険に加入させる必要があります。 | |
外国人給与 | 日本人の場合、月額最低 50,000 バーツ以上 の給与を支払う必要があります。 |
会社登記が完了し、法人としての各種書類が揃って初めて、法人口座を開設できます。
会社登記証明書(Company Certificate)
株主名簿(ボ-オ-ジョー5:B.O.J.5)
基本定款、付属定款
取締役会議事録(口座開設権限者、振込権限者、取引条件などを定めたもの)
取締役(権限者)のパスポート原本とサイン
会社の印鑑(会社印)
取締役全員の同行: 口座開設に必要な書類にサインをする権限を持つ取締役(日本人を含む)は、原則として全員が銀行に出向く必要があります。
書類の有効期限: 会社登記関連の書類(登記証明書など)は、発行から1ヶ月以内(または6ヶ月以内) のものが求められることが多いため、事前に銀行に確認が必要です。
タイの会社設立、外国人事業許可、ビザ・ワークパーミットの手続きは、タイ人株主の扱い、必要書類の認証(日本での公証手続き含む)、事業目的の記載、資本金の取り扱いなど、非常に複雑で専門知識が必要です。
手続きをスムーズかつ法的に問題なく進めるためにも、タイ現地の会計事務所や法律事務所などの専門家に依頼することを強く推奨します。
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